2011年9月アーカイブ

<病原体・毒素>
赤痢菌は大腸粘膜細胞内に侵入増殖し、化膿性炎症を起こす。
4種類の血清型と代表例
A 群:Shigella dysenteiae (志賀赤痢菌)
B 群:S.flexneri (フレクスナー赤痢菌)
C 群 :S.boydii (ボイド赤痢菌)
D 群 :S.sonnei (ソンネ赤痢菌)

<感染経路>
主な感染源はヒトであり、患者・保菌者の糞便、それらに汚染された手指、食品、水を介して直接あるいは間接的に経口感染する。
井戸水などによる水系感染は大規模な集団発生をきたす。
非常に少量の菌で感染の成立が可能。
家庭内での2 次感染率は40 %に及ぶ。
通常、成人の社会的な接触では感染しない。

<臨床症状>
感染は腸管局所にとどまり、腸管外感染はほとんど起こさない。
基本的には、大腸型の感染症。
大腸に到達する前に小腸にも影響を与え、小腸型の下痢を起こしてから大腸型の下痢を生じるとされる。
典型例では、全身倦怠感、悪寒を伴う急激な発熱で発症する。
発熱が1 ~2 日続いた後、水様性下痢、腹痛、膿粘血便、しぶり腹、などの赤痢症状が出現する。
自然治癒傾向があるため、重症例を除いて1 週間程度で症状は改善されるが、未治療の場合、排菌は1 ~3 カ月続く。

<検査所見>
白血球増加、赤沈、CRP の増加などの炎症所見がみられる。

<診断・鑑別診断>
確定診断は糞便培養からの菌検出による。検体は必ず、抗菌薬服用前に採取する。

<治療>
対症療法により全身状態の改善を、抗菌薬により除菌を図る。

☆対症療法のポイント
(1)細菌の体外排除を遷延させるため、強力な止瀉薬を使わない。
(2)病原菌の定着を阻止し、腸内細菌叢回復に有用とされる生菌整腸剤を併用する。
(3)解熱薬は脱水を増悪させる可能性があり、かつ治療薬であるニューキノロン薬との併用が好ましくない薬剤が多いことから、慎重に選ぶ。
(4)脱水は、程度の差はあれ急性胃腸炎では必発である。状況に応じて静脈内あるいは経口輸液を行う。

☆抗菌薬療法のポイント
(1) ニューキノロン薬あるいは、FOM の5 日間経口投与が第1選択。
治療期間3-5日間。
シプロフロキサシン(シプロ 800-1000mg/日 分2)
ST合剤 (バクタ)1錠を1日2回
(2)セフェム系薬は再排菌率が高いので使用しない。

<経過・予後・治療効果判定>
通常、1 週間程度で回復し、予後は良好である。
治療終了後48 時間以降24 時間以上の間隔で2 回糞便培養を行い、2 回連続陰性であれば病原体を保有しないとみなされる。

<2次感染予防・感染の管理>
手洗いの励行が基本である。
家族の検便は必要である。
ワクチンはない。

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